Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 159.223 Zeichen · 320 Bildschirme
で、次郎は、今日母から、
「夕方にはお父さんが帰っていらっしゃるんだよ。次郎がここに帰って来てから初めてだね。」
と言われた時には、一刻も早く逢ってみたいような気になった。
そして、いよいよ夕方になって、父を迎えるために、みんなが庭に打水を始めた時には、次郎は珍しく恭一のあとについて、柄杓で庭石に水をまいて歩いたりしたのだった。
それでも、彼は、いざ父が帰ったと聞くと、妙に気おくれがして、みんなと一緒に玄関にとび出して行こうとはしなかった。それどころか、彼はその騒ぎの間に、一人でこっそり、庭の植込に這入りこんでしまったのである。そして、父が服を脱いだり、湯殿に入ったり、母がお膳の支度をして、それを座敷の縁側に運んだり、恭一と俊三とがはしゃぎ廻ったりしている様子を、じっとそこから覗いていた。
しかし覗いているうちに、彼はだんだんつまらなくなって来た。もともと彼は、父に隠れる気など少しもなかったのだが、つい妙な機みで、こんなことになってしまった。それに、困ったことには、誰も自分が見えないのを気にかけている様子がない。かといって、今更植込の中から、のこのこ出て行くのも変だ。