Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 159.223 Zeichen · 320 Bildschirme
彼は自分が庭にいるのを、何とかして皆に気づかせたいと思った。で、父がいよいよ晩酌をはじめた頃に、わざと足音を立てて庭をうろつき出していたのである。
彼は母に声をかけられたときには、しめたと思った。それなら、その声に応じてすぐ出て行くのかと思うと、そうでもなかった。母の言葉は彼が素直に出て行くには、少し強すぎたのである。
彼は母の声をきくと、すぐ、くるりと座敷の方に背を向けて立木によりかかってしまった。
「次郎ちゃん、父ちゃんが帰ったようっ。」
恭一が彼を呼んだ。
「父ちゃんが帰ったようっ。」
俊三がそれをまねた。
次郎は皆の視線を自分の背中に感じていよいよ動けなくなってしまった。
「すぐあれなんですもの。……全くどうしたらいいのか、私、わからなくなっちまいますわ。」
「なあに、今日は、はじめてなもんだから、きまり悪がってるんだよ。」
「そんなしおらしい子ですと、私ちっとも心配いたしませんけど、なかなかそんなじゃありませんわ。」
「やはり家になじまないからさ。そのうち、おいおいよくなるだろう。」
「そうでしょうか知ら。」
「何しろ、あれにとっては、この家はまるで他人の家も同然だろうからね。