Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 159.223 Zeichen · 320 Bildschirme
炉の中に惜しげもなく投げこまれた蝋糟が、ごうごうと音を立てて、焔をあげているのも景気がよかった。
次郎はこの家に来ると、妙に甘い空気に包まれる。
そのせいか、ほんのちょっとした事にも、すぐ泣き出してしまう。従兄弟たちは別に意地悪をするわけでもないが、子供同士のことで、たまには口喧嘩をしたり、ぶっつかったりすることもある。そんな時に、きまって泣き出すのは、次郎の方である。それは、彼の実家でのふだんの様子を知っている者には、実際不思議なくらいだった。
この日も、彼と同い年の辰男を相手に、炉の前に積んであった蝋糟の中で角力をとっているうちに、つい泣き出してしまった。それを年上の従兄弟たちがなだめて、やっと機嫌を直させたところへ、ひょっくり思いがけない人が這入って来た。お浜であった。
「まあ、坊ちゃん、しばらく。」
次郎はちょっとの間、ぽかんとしてお浜の顔を見ていたが、きまり悪そうに俯向いて、くるりと背を向けた。
「おや、どうなすったの。」
お浜は、次郎の前にまわって、中腰になりながら、彼の顔をのぞきこんだ。
「まあ、泣いてたようなお顔ね。」
そう言って、彼女は次郎を抱きすくめるようにしながら、炉の前の蓆に腰をおろした。