Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 159.223 Zeichen · 320 Bildschirme
」と言った。
俊亮は、いつもに似ぬ沈痛な顔をして、默って正木の老人の前にかしこまった。
そのあと、彼らが何を話合い、どんな手段を講じたか。それは彼らに任しておいて、私は、読者と共に、早速次郎のあとをつけてみることにしたい。
*
実を言うと、次郎はみんなが心配するほど危険な場所に行っていたわけではなかったのである。
彼は、門口を出ると母屋と土蔵との間の、かびくさい路地に這入って、暫くそこに佇んだ。それから路を更に奥にぬけて、庭の築山のかげに出た。彼はそこで、永いこと寒い風にさらされながら、座敷の様子を窺っていたが、全く人の気配がないと見て、思い切って縁側から上って行った。そして、次の間の、客用の夜具を入れてある押入をあけて、すばやくその中にもぐりこんでしまった。
絹夜具の膚触りが、いやに冷たくて気味が悪かった。おまけに、皹の切れた手足がそれに擦れるたびにばりばりと異様な音を立てるので、彼はびくびくした。
夜具にくるまりながら、内からそっと襖を締めるのは、次郎にとって、かなり骨の折れることだった。が、どうなりそれをやり了せると、彼はなるだけ体を動かさない工夫をして、遠くの物音に聴耳を立てた。