Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ししゃのしょ
死者の書
折口 信夫
Lesen Sie 死者の書 (ししゃのしょ) von 折口 信夫 (おりくちしのぶ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 62.340 Zeichen · 126 Bildschirme
その頃ちょうど、称讃浄土仏摂受経を、千部写そうとの願を発して居た時であった。其が、はかどらぬ。何時までも進まぬ。茫とした耳に、此世話が再また、紛れ入って来たのであった。
ふっと、こんな気がした。
ほほき鳥は、先の世で、御経手写の願を立てながら、え果さいで、死にでもした、いとしい女子がなったのではなかろうか。……そう思えば、若しや今、千部に満たずにしまうようなことがあったら、我が魂は何になることやら。やっぱり、鳥か、虫にでも生れて、切なく鳴き続けることであろう。
ついに一度、ものを考えた事もないのが、此国のあて人の娘であった。磨かれぬ智慧を抱いたまま、何も知らず思わずに、過ぎて行った幾百年、幾万の貴い女性の間に、蓮の花がぽっちりと、莟を擡げたように、物を考えることを知り初めた郎女であった。
おれよ。鶯よ。あな姦や。人に、物思いをつけくさる。
荒々しい声と一しょに、立って、表戸と直角になった草壁の蔀戸をつきあげたのは、当麻語部の媼である。北側に当るらしい其外側は、を圧するばかり、篠竹が繁って居た。沢山の葉筋が、日をすかして一時にきらきらと、光って見えた。
郎女は、暫らく幾本とも知れぬその光りの筋の、閃き過ぎた色を、瞼の裏に、見つめて居た。