Japanische Klassiker mit Furigana
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ししゃのしょ
死者の書
折口 信夫
Lesen Sie 死者の書 (ししゃのしょ) von 折口 信夫 (おりくちしのぶ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 62.340 Zeichen · 126 Bildschirme
十五
じゃの。そう思うよ。時に女姪の姫だが――。
さすがの聡明第一の大師も、酒の量は少かった。其が、今日は幾分いけた、と見えて、話が循環して来た。家持は、一度はぐらかされた緒口に、とりついた気で、
横佩墻内の郎女は、どうなるでしょう。社・寺、それとも宮――。どちらへ向いても、神さびた一生。あったら惜しいものでおありだ。
気にするな。気にするな。気にしたとて、どう出来るものか。此は――もう、人間の手へは、戻らぬかも知れんぞ。
末は、独り言になって居た。そうして、急に考え深い目を凝した。池へ落した水音は、未がさがると、寒々と聞えて来る。
早く、躑躅の照る時分になってくれぬかなあ。一年中で、この庭の一番よい時が、待ちどおしいぞ。
大師藤原恵美押勝朝臣の声は、若々しい、純な欲望の外、何の響きもまじえて居なかった。
十五
つた つた つた。
郎女は、一向、あの音の歩み寄って来る畏しい夜更けを、待つようになった。おとといよりは昨日、昨日よりは今日という風に、其跫音が間遠になって行き、此頃はふつに音せぬようになった。その氷の山に対うて居るような、骨の疼く戦慄の快感、其が失せて行くのを虞れるように、姫は夜毎、鶏のうたい出すまでは、殆、祈る心で待ち続けて居る。