Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ししゃのしょ

死者の書

折口 信夫

Lesen Sie 死者の書 (ししゃのしょ) von 折口 信夫 (おりくちしのぶ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 62.340 Zeichen · 126 Bildschirme

Aozora Bunko

十三

其がまた、ふっと、目の前のささやかな花に戻る。

夕風が冷ついて参ります。内へと遊ばされ。

乳母が言った。見渡す山は、皆影濃くあざやかに見えて来た。

近々と、谷を隔てて、端山の林や、崖の幾重も重った上に、二上の男岳の頂が、赤い日に染って立っている。

今日は、又あまりに静かな夕である。山ものどかに、夕雲の中に這入って行こうとしている。

もうしもうし。もう外に居る時では御座りません。

十三

「朝目よく」うるわしい兆を見た昨日は、郎女にとって、知らぬ経験を、後から後から展いて行ったことであった。ただ人の考えから言えば、苦しい現実のひき続きではあったのだが、姫にとっては、心驚く事ばかりであった。一つ一つ変った事に逢う度に、「何も知らぬ身であった」と姫の心の底の声が揚った。そうして、その事毎に、挨拶をしてはやり過したい気が、一ぱいであった。今日も其続きを、くわしく見た。

なごり惜しく過ぎ行く現し世のさまざま。郎女は、今目を閉じて、心に一つ一つ収めこもうとして居る。ほのかに通り行き、将著しくはためき過ぎたもの――。宵闇の深くならぬ先に、廬のまわりは、すっかり手入れがせられて居た。