Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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えどのかじゅつ

江戸の火術

野村 胡堂

Lesen Sie 江戸の火術 (えどのかじゅつ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.929 Zeichen · 36 Bildschirme

Aozora Bunko

お静か繁代か

物を隠すことさえ知らぬ井上半十郎は、お静が奪い還してくれた振り分けの荷物を指して斯く語るのです。

「で、――その五年の間の工夫で、五貫目玉五十丁撃が、間違いもなく出来るでしょうか、井上様」

お静の息も思わず弾みます。ツイ乗り出した膝、赤い襦袢がこぼれるのをそっと押えました。

「拙者五年の苦心は、大筒の尾栓の螺線止めであった、今までの大筒は、五貫目玉を強薬で撃ち出すと、たった一発で尾栓が破裂したが、これからはもう、その心配は無い――が」

井上半十郎の顔はサッと曇ります。大筒の尾栓は大丈夫でも、半十郎は江州鉄砲鍛冶の家伝を継いで、五十丁撃の猛烈な威力を持って居る、火薬焔硝の製法には自信が無かったのです。

お静か繁代か

「五貫目玉を、五十丁の先まで射出して、的の黒星を打ち抜く火薬は、日本広しと雖ども、作り手はたった一人しか無い、それは――稲富――」

井上半十郎はよく知って居ります。それだけの焔硝を作り得る者は、名人一夢斎の裔、喜太夫の倖、稲富喜三郎の外にはありません。

「まア、そのような御心配遊ばしたものでは御座いません、江戸までいらっしゃるうちに、また何んか良いこともありましょう」