Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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えどのかじゅつ

江戸の火術

野村 胡堂

Lesen Sie 江戸の火術 (えどのかじゅつ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.929 Zeichen · 36 Bildschirme

Aozora Bunko

道連れの美女

井上流砲術をもう一度世に出す為には、あの十三両二分は大した資本だったのです。

道連れの美女

一文無しになって尻込みばかりする井上半十郎正景は、赤痣の美女に賄われて、何うやら斯うやら、浜松の宿に着きました。

「どうせ私も江戸へ参ります。そのように御遠慮遊ばさずに、お伴をさして下さいまし、路用は私が――」

そう言って、女はサッと顔を赤らめました。女だてらに言過ぎに気が付いたのでしょう。

「御親切は辱けない、が、見ず知らずの方から、そうまでは――」

井上半十郎は、旅籠屋の二階に通されても、まだこんな事を言って居ります。

「まア、お堅いことを、見ず知らずと仰しゃっても、あれから半日あまり御一緒に参ったではございませんか、――江戸までお供をさして頂けば、私こそどんなに心強いかわかりません、女の一人旅は、本当に心細いことばかり――」

女は裏淋しく面を伏せました、眼の上から頬へかけての痣が無かったら、この女はどんなに美しく優しく見えたでしょう。年の頃は二十四五、武家風の身だしなみにも、真新しい木綿物にも、堅実な奥床しさがあります。

それにしても、井上半十郎の古い古い記憶の下積に、この女の俤が焼き付いているのは何んの為でしょう。