Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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えどのかじゅつ

江戸の火術

野村 胡堂

Lesen Sie 江戸の火術 (えどのかじゅつ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.929 Zeichen · 36 Bildschirme

Aozora Bunko

女は秘巻を盗んで

「違う、違う」

半十郎は頭を振って、盃を取上げました。喜三郎の妹、才色兼備と言われた繁代に、こんな媚態がある筈はありません。

女は秘巻を盗んで

翌る朝、駅路の物音に眼を覚した半十郎、フト床の側に引付けて置いた筈の、振り分けの荷物を見て驚きました。

「あッ」

中結いの真田紐を解いて、二つとも滅茶滅茶に引っ掻き廻してあるのです。

飛付くように調べて見ると、命より大事な井上流砲術秘巻が、何処へ行ったか影も形もありません。

「無い」

あまりの事に、暫らくは茫然として四方を眺めるばかり、漸く気が付いて、滅茶滅茶に手を叩くと、番頭と下女と、泡を喰って飛んで来ました。

「どうなさいました、旦那様」

「泥棒が入った、この通り、荷物を掻き廻して、命にも代え難いものを盗って行った、早く、宿役人に訴えて、取り戻してくれ」

井上半十郎は立ったり坐ったり、廊下を覗いたり、欄干から外を見たりして居ります。

「そんな筈は御座いません、が、旦那様、帳場には一と晩私が頑張って居りましたし、戸締りには何んの変りもございません、一体盗られたと仰しゃるのは、何んでございます、小判で? それとも小粒?」