Japanische Klassiker mit Furigana
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せんこうてい「ハビヒツブルグ」
潜航艇「鷹の城」
小栗 虫太郎
Lesen Sie 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.395 Zeichen · 263 Bildschirme
しかし、近親相姦は……
儀右衛門はそこでハッとなり、鋭い苦痛を思って、慄え戦いた。彼は夜具に触れる衣擦れにも、獣めいた熱っぽさを覚えるのだった。
と云うのは、二人とも二十まえのことであったが、ふとした魔の戯れから、一夜山下久米八を犯してしまったのであるから。しかし当時の記憶といっても、声も立てない、まるで年増のような子供だったということや、その時逃げ出した足の下で、石ころが気味悪くごろごろしていたということなどで、それすらも、今では懲罰の意味を持つようになってしまった。
もしやして、二人が兄妹だったら――と。
いきなり血のさわぎを覚えて、儀右衛門は吾となく、胸をかきむしった。氷のような悪寒が脊髄を貫き走った。
彼は自分の血管の中に、木を噛む虫のような音を聴いたのである。その途端、儀右衛門は強烈な衝動に駆られて、一目散に楽屋のなかへ、飛び込んで行ったのであった。
そして、永いこと薄闇のなかに立ちつくして、彼は油絵具の、どんよりとした反映を見詰めていた。
が、心の中は、里虹に対する憤りで一杯だった。
あの男が、自分の父親であるかないかはしばらくさておき、もしそうでないとして、戸籍面をあのようにしたとすれば、とりもなおさず、自分が経験した近親相姦の悩みを、他の子供たちにもなめさせようとしたのではないか。