Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かせいのまじゅつし

火星の魔術師

蘭 郁二郎

Lesen Sie 火星の魔術師 (かせいのまじゅつし) von 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 151.120 Zeichen · 302 Bildschirme

Aozora Bunko

「もう沢山、来てくれなくて結構よ、わざわざあたしを呼んでおいて、二人で見せつけようなんて、……ふん、黒吉さんも相当なもんなら、女、女もそうだよ……黒ちゃん、あんたこそ誤解しないで頂戴よ、あたしはあんたが、大キライなんだからね……

あたしのところに来て下さる相談なら、まさか抱き合ってまでいう話でもなかろうからねエ――」

心持ち蒼白になって、険の浮いた葉子の顔は、ゾッとするほど凄く美しかった。幼なくして妖婦の面影のあった葉子の、姐御じみた鉄火口調は、火のように激しく辛辣に、黒吉の胸を抉った。

まして、心底から、全身を捧げて恋いしたった夢にも忘れ得ぬ葉子に、無残にも愛想づかされた激しい言葉は、毒針のように、脳天から突き通ったのだ。

「葉ちゃん、そんな……」

追かけるように見上げた黒吉の、大きく見開かれたタッタ一つの眼は、溢れる泪に濡れていた。

「もういいの、聞きたくないわ――」

葉子は、駛るように、階段を下りていってしまった。

「ま、まって……」

不自由な片足で、跳るように、夢中であとを追った黒吉は、

(あっ――)

と思った瞬間、真ッ逆様に階段から転がり落ちてしまった。