Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かせいのまじゅつし

火星の魔術師

蘭 郁二郎

Lesen Sie 火星の魔術師 (かせいのまじゅつし) von 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 151.120 Zeichen · 302 Bildschirme

Aozora Bunko

だが、水木は、平然として

「アダムはもう出来ているよ、アダムはずっと前から決ってるんだ。イヴが見つかるまで僕の手伝をして貰った人だよ……」

「えッ」

(ソレは、それは、このおれではないか!)

「ふ、ふ、もう顔色が変ってきたな。僕は浅草で逢った時から君の『甲種合格』の体に惚れていたんだ……どうだい気分は、さっきの水は味がヘンだったろう……」

「水木、俺を殺すんだな」

洵吉は、大声で叫ぶと、水木に掴みかかろうとして椅子を刎除けた。

ダガ、もう薬が廻ってきたのであろうか、体には全然力がなく、不甲斐なくも、その儘床に前倒ってしまったのだ。

そして、大声で呪い、怒鳴っている筈の、自分の声も、洵吉の耳には、蚊の鳴くほどにも響かなかった。

彼は薄れ行く意識の中に、もう足の先が、ジクジクと腐りはじめたような気がしてきた……。

(「探偵文学」昭和十一年五月号)