Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かせいのまじゅつし

火星の魔術師

蘭 郁二郎

Lesen Sie 火星の魔術師 (かせいのまじゅつし) von 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 151.120 Zeichen · 302 Bildschirme

Aozora Bunko

二、真昼は向日葵の匂いがする

二、真昼は向日葵の匂いがする

私は食事中、フト気がつくと視線が丘子の方に向いているのであった。見まい、としても諸口さんから聞いた刺青のことが気になって、つい丘子の一挙一動に気を奪われてしまうのであった。

暑くなったせいか、近頃メッキリ食慾のないらしい丘子は、うるんだような瞳をして食卓に肘をついていた、そして突然、何を思ったのか「ユーモレスク」の一節を唄い出したのであった。

月の吐息か 仄かな調は

闇をば流れ来て 侘しいこの身の

悶ゆる心に 響け 調よ。

密やかに慕寄る 慰めの唄

されど尚人知れず 泪さそう詩よ

唄いながら、彼女の眼は妖しく光って来た。不思議なことに、泪を泛べているのかも知れない。

「ねえこの唄どう思って……」

「どうって……」

「あたし、この唄青木さんから教わったんだけど、『肺病の唄』だと思うわ」

「その文句ですか」

私はそのあまり突飛な言葉に、呆気にとられて訊いた。

「いいえ、――それもだけど――このメロディよ、ね、よく聞いて御覧なさいよ、あの体温表のカーヴとこのメロディと、ぴったり合うじゃないの、高低抑揚が、恰度あの波形の体温と吃驚するほど、ピッタリ合うじゃないの……」