Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かせいのまじゅつし

火星の魔術師

蘭 郁二郎

Lesen Sie 火星の魔術師 (かせいのまじゅつし) von 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 151.120 Zeichen · 302 Bildschirme

Aozora Bunko

五ノ六

五ノ六

「ああ、ありましたか……やっぱり……」

「あったよ。黒公、一体どこで見つけたんだ」

「よかったなア……ですから、あの空を飛んだ時に……」

「冗談いうな、もう憤らねエからいってみな千里眼じゃあるまいし……それにあんな高いところから下がハッキリ見えるもんか、おまけに、あそこからは、洗面所は陰になって、見えねエ筈だぜ……」

「そ、そうですが……」

(怪訝しいな、成程、親方のいう通り、あの天井からは、恰度引幕の陰になって見えない筈だ――)

黒吉は、一生懸命に、考えを引纏めようとしたが、頭の中は、一層もやもやとするばかりだった。

「なぜだか知りませんが、とにかく見えたんだす。もやもやッとした中に、洗面所と指輪だけが……指輪のことばっかり考えていたからかも知れませんけど――」

「まるで夢みてエな話じゃねエか、夢中になって考えていたから――というんだな」

「ええそうなんです」

「ふーん」

「だもんで……」

黒吉は、折角、直って来たらしい親方の機嫌を、又こじらしては大変と、焦慮って弁解に勉めたが、自分にもハッキリと判らないことが、親方に呑込めるだろうか。

「だもんで、みつけたな、と思った途端に、舞台のことを忘れちまって、失敗しちゃったんです。