Japanische Klassiker mit Furigana
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たまものまえ
玉藻の前
岡本 綺堂
Lesen Sie 玉藻の前 (たまものまえ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.703 Zeichen · 261 Bildschirme
見てまいれ」
主人の言い付けで、織部清治は法性寺へ出向いてみると、阿闍梨はその怨念が鼠になったとか伝えられる昔の三井寺の頼豪のように、おどろおどろしい長髪の姿で寝床の上に坐っていた。清治の口上を聴いて、彼は謹んでうなずいた。
「かずならぬ甥めが後世安楽のために、関白殿が施主となって大法要を催さるるとは、御芳志は海山、それがしお礼の申し上げようもござらぬ。たとい如何ほどの重病たりとも、当日の導師の務めは拙僧かならず相勤め申す。この趣、殿下へよろしくお取次ぎを……」
見たところは痛ましくやつれているが、その応対にすこしも変わった節は見えないので、清治はまず安心した。すぐに屋形へ戻ってその通りを報告すると、忠通も眉を開いた。
「それほどに申すからは子細はあるまい。当日の用意万端怠るな」
やがてその当日が来た。時の関白殿が施主となって営まるる大法要というのであるから、仏の兼輔に親しいも疎いもみな袂をつらねて法性寺の御堂にあつまった。門前は人と車とで押し合うほどであった。その綺羅びやかな、そうして壮厳な仏事のありさまをよそながら拝もうとして、四方から群がって来た都の老幼男女も、門前を埋めるばかりにひしひしと詰めよせていた。