Japanische Klassiker mit Furigana
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たまものまえ
玉藻の前
岡本 綺堂
Lesen Sie 玉藻の前 (たまものまえ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.703 Zeichen · 261 Bildschirme
三
三
行綱の病気を見舞ったあとで、千枝松と藻とは手をひかれて近所の小川のふちに立った。今夜は十三夜で、月に供える薄を刈りに出たのであった。
幅は三間に足らない狭い川であったが、音もなしに冷びやと流れてゆく水の上には、水と同じような空の色が碧く映って、秋の雲の白い影も時どきにゆらめいて流れた。低い堤は去年の出水に崩れてしまって、その後に手入れをすることもなかったので、水と陸との間にははっきりした境もなくなったが、そこには秋になると薄や蘆が高く伸びるので、水と人とはこの草むらを挟んで別々にかよっていた。それでも蟹を拾う子供や、小鮒をすくう人たちが、水と陸とのあいだの通路を作るために、薄や蘆を押し倒して、ところどころに狭い路を踏み固めてあるので、二人もその路をさぐって水のきわまで行き着いた。そこには根こぎになって倒れている柳の大木のあることを二人は知っていた。
「水は美しゅう澄んでいるな」
二人はその柳の幹に腰をかけて、爪さき近く流れている秋の水をじっと眺めた。半分は水にひたされている大きい石のおもてが秋の日影にきらきらと光って、石の裾には蓼の花が紅く濡れて流れかかっていた。