Japanische Klassiker mit Furigana
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たまものまえ
玉藻の前
岡本 綺堂
Lesen Sie 玉藻の前 (たまものまえ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.703 Zeichen · 261 Bildschirme
二
二
師道が早々に帰ったあとで、忠通はすぐに玉藻を呼んだ。彼は燃えるような息を吐きながら、今聞いた顛末を物語った。
「もう堪忍も容赦もならぬ。衛府の侍どもを召しあつめて、宇治へ差し向けようと思う」
「宇治へ……」と、玉藻は眉をよせた。
「おお、頼長めを誅伐するのじゃ。氏の長者を許され、関白の職におる忠通に敵対するやからは謀叛人も同様じゃ。弟とて容赦はない。すぐに人数を向けて攻め亡ぼすまでのことじゃ。信西入道も憎いやつ、今までは我が師と敬うていれば付け上がって、謀叛人の方人となって我に刃向かうからは、彼めも最早ゆるされぬ。頼長と時を同じゅうして誅伐する。かれら二人をほろぼせば、その余の徒党は頭のない蛇も同様で、よも何事をも仕得まいぞ。侍を呼べ、すぐに呼べ」と、忠通はまなじりを裂いて哮った。
「御立腹重々お察し申しまするが、まずお鎮まりくださりませ」
玉藻はさえぎってとめた。今この場合に衛府の侍どもを召されても、かれらが素直に左大臣誅伐の命令に応じて動くかどうかわからない。左大臣の野心はとうに見え透いているものの、これぞと取り立てていうほどの証拠もないのであるから、迂闊にここで事を起こすと、理を以って非に陥るおそれがないでもない。