Japanische Klassiker mit Furigana
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たまものまえ
玉藻の前
岡本 綺堂
Lesen Sie 玉藻の前 (たまものまえ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.703 Zeichen · 261 Bildschirme
「それほどのこころざしがあるならば、なぜ今までにわたしの親切を仇にして、お師匠さまの味方をせられた。又いっときなりとも三浦の娘に心を移された。それが憎い、怨めしい。今更なんぼう恋しゅう思われても、お前とわたしとの間には大きい関が据えられた。寄ろうとしても寄られませぬぞ」
「それはわしの過失じゃ。免してたもれ」と、千枝太郎は枯草の霜に身をなげ伏して泣いた。「今までお身を疑うたはわしの過失じゃ。お身を恐れたは猶更のあやまちじゃ。魔女でも鬼女でも畜生でも、なつかしいと思うたら疑わぬ筈、恋しいと思うたら恐れぬ筈。それを疑い、それを恐れて、仇に月日を過ごしたばかりか、お師匠さまに味方してお身をかたきと呪うたは、千枝太郎が一生のあやまちじゃ。この通りに詫びる。こらえてたもれ」
彼は早く悪魔の味方にならなかったことを今更に悔やんだ。悪魔と恋して、悪魔の味方になって、悪魔と倶にほろびるのがむしろ自分の本望であったものをと、彼は膝に折り敷いた枯草を掻きむしって遣る瀬もない悔恨の涙にむせんだ。その熱い涙の玉の光るのを、玉藻はじっと眺めていたが、やがて優しい声で言った。