Japanische Klassiker mit Furigana
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たまものまえ
玉藻の前
岡本 綺堂
Lesen Sie 玉藻の前 (たまものまえ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.703 Zeichen · 261 Bildschirme
ほんのことを正直に話したのじゃ」
「そうかのう」
千枝松もはじめてうなずいた。藻が薄暗い川べりに立って髑髏をかざしていた子細も、これで判った。陶器師の婆が根もないことを言い触らしたのでないという証拠もあがった。彼は一時の腹立ちまぎれに喧嘩を売って、人のよいじいさまの気を痛めたことを少し悔むようになってきた。
「それからきょうは関白殿の屋形へ召されて、御前の首尾はどうであった」
「首尾は上々じゃ」と、藻は誇るように言った。「色紙やら短冊やらいろいろの引出物をくだされた。帰りも侍衆が送って来てくれたが、侍衆の話では、わたしをお屋形へ御奉公に召さりょうも知れぬと……」
「なんじゃ、御奉公に召さるると……。して、その時はどうするつもりじゃ」と、千枝松はあわただしく訊いた。
「どうするというて……。ありがたくお受けするまでじゃ。もしそうなれば思いも寄らぬ身の出世じゃと、父さまも喜んでいやしゃれた」
秋の宵闇は二人を押し包んで、女の白い顔ももう見えなくなった。その暗い中から彼女の顔色を読もうとして、千枝松は梟のように大きい眼をみはった。
「お受けする……。関白殿の屋形へまいるか。