Japanische Klassiker mit Furigana
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わたしのかったいぬ
私の飼った犬
斉藤 弘吉
Lesen Sie 私の飼った犬 (わたしのかったいぬ) von 斉藤 弘吉 (さいとうひろきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.083 Zeichen · 16 Bildschirme
マタギ系のメス犬“松”
マタギ系のメス犬“松”
私のいままで飼った犬は十数頭になり、みな思い出の深い犬ばかりですが、その中でも“松”という秋田マタギ系のメスが、一番忘れられない純情な犬でした。
昭和二年春、秋田県大館の畜犬商から秋田犬オスとメスを買いました。オスは淡赤、立耳、左巻尾、肩の高さ六十一センチの実に体型のよい気性の鋭い犬で“出羽”と名づけました。メスは肩の高さ五十センチの中型で秋田マタギ(獣猟)系で“松”という名でした。毛色は赤にゴマ毛まじり、立ち耳、差し毛、顔がちょっとしゃくれて、ひいき目にも器量がよいとはいえない犬でした。
後でその畜犬商に聞くと“松”は大館郊外のあるリンゴ園の番犬に飼われていて、六ぴきの子を産んだのを買い取り、子犬がいるから逃げ出すことはないだろうと、自分の家に放し飼いにしたら、その夜のうちに“松”は子犬を一ぴきごと口にくわえて、朝までに旧主のリンゴ園にみんな運んで帰ってしまったのでした。畜犬商の家はリンゴ園から四キロほど離れているところなのです。そんなことでこの犬は放し飼いにできず、手数がかかるので子犬が乳離れするとすぐ私に譲ったのでした。