Japanische Klassiker mit Furigana
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わたしのかったいぬ
私の飼った犬
斉藤 弘吉
Lesen Sie 私の飼った犬 (わたしのかったいぬ) von 斉藤 弘吉 (さいとうひろきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.083 Zeichen · 16 Bildschirme
“松”をゆずる
私は毎日朝夕“出羽”と“松”を連れて散歩にでましたが、出羽は知らぬ人には危険な犬でしたので綱をつけて引き、松はおとなしい犬でしたので、放し飼いでした。夜はさびしい道を歩くとき、先方から何か近づいて来ると、一番早く気がつくのは“松”です。すぐ十メートルほど先に飛び出して、地に腹ばいになって先方をすかして見て、もし犬だったりすると突然ぴょんぴょんととび上がっておどすのです。先方がびっくりして逃げると、ちょっと追いかけてからさも大手柄をしたような顔して、尾を振りながら私のところへもどって来るのです。先方が気の強い犬で、そのまま歩いて来ると“松”は急に尾を下げてしおしおと帰ってきて、私と“出羽”の後にかくれるのでした。
“松”をゆずる
その後、私どもと親しくしていた都新聞(今の東京新聞)の論説委員長Hさん夫妻が、しきりに“松”をほしがりますので、とうとう差し上げることに決心しました。H氏夫妻はお子さんがなく愛情深い方々でした。東京世田谷区東北沢の私の家から“松”を自動車にのせて、わざと都内をぐるぐる回って、高田馬場近くのH家に連れて行ったのです。“松”はしっかり鎖につないで、夜は屋内に入れて絶対に放さぬようにといって帰宅しました。