Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(一) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 246.214 Zeichen · 495 Bildschirme
茫漠、つかみどころのない気もする。
淀川舟で見かけた一朝臣の姿も、伊吹のばさら大名の言なども、顧みれば、なにか偶然めいた感である。それが一世の指向とは俄にも信じ難い。
さればとて、現朝廷が、これまでのごとき無気力な朝廷でないことだけは、確かだった。――またいま、堂上に流行の学風や新思想が、その目標とするところは、幕府なき天皇一元の復古にあるのだという機微なきも、
「……さもあらんか」
と、うなずかれる。
だが、都のちまたは、酒屋繁昌やら田楽流行である。この正月風景にしろ、そんな兆しは、上下どこにも見られはしない。すでに一部の若公卿は、密勅を帯びて、諸州を潜行しているほどにまで、事はすすんでいると、道誉や左近らは説いたが、はたして、それもどこまでが真か。――もし事実なら、その彼らがあんな婆娑羅な奢りにぬくもっていること自体すでにおかしい。いかに北条幕府のみだれが末期症状であろうとも、あれで、“世直し”を行ろうなどは片腹いたい。
「さても、分らぬことだらけぞ」
一日ごとに、駒は、東国へ近づいていたが、都の空へ遠ざかるほど、彼が学びえた見聞の判断にも、視野をかえた懐疑の雲が生じていた。