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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(一)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(一) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 246.214 Zeichen · 495 Bildschirme

Aozora Bunko

白魚のような指の爪に、内には流れているものが、ほの紅く透きとおっていた。

義貞は、強いもせず「――では、後で」と、それは措いたが、しかし、あらぬ話題をすぐ向けて。

「たしか、そもじには、よい和子が一人おありだったの。和子はいかが召されてか」

「その覚一は、三年ほど前から、都へ行っておりまする」

「ほ、幼いのに」

「琵琶の修行に、縁者の上杉殿をたのみまいらせて」

「そうか。だが上杉殿は、先ごろ六波羅解番(解任)となって、鎌倉表へ帰府したはず。……すると近日、愛し子の顔を見られるのじゃな」

「ただ愉しみはそれのみでございまする」

「さもこそ」

義貞はふと、とろんとした眼に物を忘れて、

「うれしかろ」

と、かさねて言った。

しかし彼女は「……いいえ、なんで私だけが、子に会えるのを、よろこんでいられましょうぞ」と、叫びたげに、顔を振った、その頬にこぼれる露を、義貞は、白桔梗のようなと思った。思いつつ、彼女がめんめんと訴えることばを、しごく穏やかな面で聞きとっていた。

「……むむ、足利家では、高氏が二年ごしの蟄居。その上、またも昨夜は、弟の直義が公儀をおそれぬ乱暴沙汰……。