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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(一)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(一) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 246.214 Zeichen · 495 Bildschirme

Aozora Bunko

けれど今、従者の一色右馬介にゆり起されて、無言でニッと見せた羞恥み笑いや、大どかな風貌の魅力さといったらない。きっとこの郎党は、この若いおあるじのためには、どんな献身も誓っているのではないかと思われる。

とにかく、醜男の方ではあるが由緒ある家の子息ではあろう。佩いている太刀なども、こんな小酒屋の客には見ぬ見事な物と、亭主もさっきから、眼をみはっていた様子だった。

「されば、お眠りはつかのまでしたが、昼、六波羅を出たばかり。さだめし、上杉殿のお内でも、この深夜まで、どこを何して歩いてぞと、お案じのことに相違ございませぬで」

右馬介の分別顔を、一方は屈託もなく笑い消した。

「ばかな、そんな心配をだれがするものかよ。こたびの上京こそは、せっかく、よい見学として、諸所、くまなく見て帰れとは、国元の父上のみならず、六波羅の伯父上も、くどいほど申されたことだ。まして、右馬介も付いておることと」

「その儀は、とく心得ておりまするが、程なく元旦にもなりますことゆえ」

「そうだ、除夜だなあ。ことしの除夜の鐘を、都で聞こうとは思わなんだぞ。明くれば、又太郎も十八歳。右馬介、おまえとは幾つちがいだっけな」