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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(一)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(一) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 246.214 Zeichen · 495 Bildschirme

Aozora Bunko

「……読めたわ。ここの佐々木も、つまりはその、ばさら大名という者であったるか」

又太郎の心のうちにも、やっと談笑に溶けうる支度ができつつあった。

すぐ酒盤が出る。右馬介や土岐左近へも、陪膳が供された。

「坂東人はみな酒がおつよいとうけたまわるが」

と、佐々木高氏。

「なかなか。まだ自分ごときは曹司(部屋住み)の身でござれば」

と足利高氏。

「ご遊歴とは、よい御身分。お羨ましい」

「いや、それもわびしい微行の旅にすぎぬこと」

「鎌倉政所をお憚りよの。とかく、掟縛りはうるさいでのう。……しかしお気づかい召されな。万一あるとも、執権どのへは、この高氏がいかようにもおとりなし申そうほどに」

そこでふと、

「はははは。おん許も高氏、それがしも高氏。気をつけぬと、こりゃ、ややこしい」

と、打笑った。

春昼、酒はよくまわる。又太郎もつよいたちだが、佐々木にも大酒の風がある。

城内の大庭には、紅梅白梅が妍をきそい、ここには杯交のうちに気をうかがい合う両高氏の笑いがつきない。はからずも、これこそ“婆娑羅”な酒もり景色か。

「ときに……」と、又太郎からたずねた。「ぶしつけなれど、御出家にしては余りに早すぎるお頭、いかなる発心なあって?」