Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme
と。
「いや、むりもない」
直義は怒りもわすれた。正直、百倍の力を得たよろこびだった。がしかし、そのすぐ次に、道誉は容易ならぬ情報を彼に告げた。――それには、船手の加勢をえた直義の強味も、差引き、大きな狼狽を余さずにいられなかった。
何事かといえば。
かねがね、予測はされていたことだが、奥州の北畠顕家が、北の精兵七千騎をひきつれ、長途、王軍をたすけるべく疾風迅雷のように西下して、はや不破を越え、今日にも、近江愛知川には着くであろうとのことだった。
「なに。――北畠顕家の奥州軍が、今日にも愛知川へ着くというのか」
足の裏から地ひびきでも聞いたように、直義は恐れ慌てた。予期はしていたが、こう迅く! とは想像外であったらしい。
「もしその大敵を背後にうけ、ここもまだ陥ちぬとあったら一大事ぞ」
と、道誉と共に作戦をねッた。そして遮二無二、今日中にはと、水陸から瀬田の敵をおめきつつんだ。
この湖上奇襲はみごと功をそうし、直義と道誉の兵が、やがて粟津の岸を占領してからは、官軍も腹背の脅威にあきらかな苦悶をみせはじめ――またまもなく、正面の高ノ師泰も、瀬田の一角を突破していた。