Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme
その戦果を確実なものにする戦争名分であった。
「わからんか。お行方は?」
今日も尊氏は、つい司令部の貴重な一刻を、それの詮議に、過ごしてしまった形だった。
彼が求めるものの捜査の主任は、例により一色右馬介が命ぜられていた。右馬介はあの雲水姿を便衣として、手下も使い、ここ数日それに奔命していたが、
「なんとしても、お一ト方すら分りませぬ。これ以上は叡山にでも登ってみぬことには」
と、毎度のむなしい復命をまたくりかえしていた。
「ではやはり……」と、尊氏も今は半ばあきらめ顔に。
「持明院統の後伏見、花園の二法皇から新院(先帝、光厳)の君まで、すべて過日の内裏落去のさい、共に叡山の上へ、いやおうなしにお座所変えを強いられて行ったものと考えるしかないか」
「必定は」
介も、さじ投げ気味で。
「それに相違ございますまい。およそ御避難ありそうな先は、くまなくお捜し申しあげまいたこと。……が、なお、望みはないでもございません」
「さはいえ、叡山では、近づきまいらせる手もあるまい」
「いえ。持明院統の臣で、去年の騒動、西園寺公宗(北山殿)の一件にからみ、以来、剃髪して寺にかくれている公卿がありますそうな」