Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme
と、どこやらで声が匂う。
きれいなせせらぎの階音にも似た声音には気のせいか覚えがあった。
「たれだ?」
「わたくしです」
「わたくしとは」
「…………」
答えにつまって、そして羞恥らってでもいるような気配が朧な勾欄のあたりでしていた。その間には、細殿の簾が垂れている。義貞はもどかしくなり、われから立って、簾を押しはらった。簾の目にたかっていた花の幾ヒラが舞って、その下に手をつかえていたひとの黒髪にもハラとこぼれた。
「や、そなたは」
「勾当ノ内侍でございまする」
「……これは」
義貞はあきれた。茫然と口もきけなかった。
声で、もしやと思わぬでもなかったが、あまりに欲していたものが余りにたやすく目の前におかれた驚きの反作用が奇異な戦慄にもなるのであった。
「はて、人の悪い」
義貞は、胸の戸まどいを、ふとそんな呟きにして。
「では、千種どのが、こよいお連れあった女性というは」
「私でございました」
内侍は、どこかに怯えの翳を持ちながらかすかに答えた。
「お召ゆえ、この離亭へ罷れと仰せなので、まいりましたが」
「いや、義貞は呼んだ覚えはない。ないどころか、連れがそなたとも知らなかった。