Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

しほんたいへいき

私本太平記(七)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme

Aozora Bunko

妻にすれば、長い戦陣の先からやっと帰って来たばかりの良人であろう。それ以前といえば、あの千早の籠城やら一家の離散であったし――せめて、戦のない日だけでも、家庭の中に良人を見ていたいと念じているにちがいない。――幼い子らのためにも、父の姿を家のうちにと祈っているにちがいなかろう。

蔦王に持たせてよこした卯木の短冊にも、

春柳 かつらぎ山に

立つ雲の

たちても居ても

妹し思ふに

と、万葉の一つに寄せてそれとなく留守のわびしさを訴えていた。もちろんそれは久子が卯木に頼んで書かせた物と正成には分っていたし、あらわに、早く帰って下さいなどと言っていないだけに、よけい不愍もまして、すぐ下山する気になったものだった。

「これはまた、俄な――」

と、金剛山寺では彼の下山と聞いて、急に、その日の昼餐を、朝原寺の一房にととのえて、院主がお相伴に坐り、役僧以下も給仕に付いて、

「ぜひ、またのお登りを」

と、礼をつくした。さらには一山をあげて、正成の帰路を、下赤坂まで送って行こうとするらしい支度でさえあったが、正成はかたくそれを断わった。

「ぜひまたまいるが、大勢しての送り迎えなどは、かえって迷惑。