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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(七)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme

Aozora Bunko

途中そぞろな愉しみも、愉しいものでなくなってしまう。儀礼は一切やめてほしい」

「さようではございましょうが、ご領主にたいしまして、余りに非礼とぞんじますれば」

「いやいや、領主としてまいる日には、それと通達してまいる。――かつは千早籠城のみぎりには、ずいぶんこの御寺も拝借して、踏み荒らしたこと。まだまだ大分修理のとどかぬ所も多い。――いずれ正成の身に閑暇ができたら、正成自身奉行して、一堂を寄進し、なお山門の手入れなどもいたしましょうわい。……いやおたがいに、早くそのような日を持ちたいものだが」

と、あとの一語には、何か、心残りを置くようではあったが、そういって笑いながら、一同の立礼をあとに謝して立去った。

すぐ、道は千早の旧籠城跡を下に見ながら急坂を降りかけていた――当時、足に負傷し、弓杖ついて、ここを登り下りしたことやら、餓死寸前にあった城兵の、あの顔、この顔、みな土に爪を立てながら生き抜こうとした凄まじい人間の一心と団結力が、まだそこらの草の穂にも生き生きと息吹いているように眺められた。

「あの、尊いものを」

と、正成は、うら悲しかった。身に責められた。