Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme
「はっ。……まずはさような御主旨にもとづきますが」
「身の面目よの。身は河内の一小武門。足利殿といえば、人も知る御名門だ。それさえあるに」
「いやあなた様を、武門のうちの武門、人の中の人と、お見込みあってのことにございましょう」
「それは御同様よ。尊氏どのの御器量はよそながら正成も存じ上げておる。稀れにみるお人柄の一人として」
「ありがとう存じます」と、介はわがことのように感激して、
「御意、そのままお伝え申しあげたら、主君尊氏も、さぞ、およろこびにございましょう。まことに、士は士を知るの譬え。使いの私にもかほどな歓びはございません。つきましては」
と、彼は乾いた唇を舐めた。もう何を語っても大丈夫と観たものであったらしい。
「――じつは、ただいま筑紫表にある主君尊氏も、今夏か秋のころまでには、九州、四国、山陽のお味方をこぞッて、再び上洛のご予定にて、着々、後図をめぐらしておられまする。で、その日には、ぜひとも新田軍の背後より、楠木どのの御内応を得たきものと、切なるお望みをかけ、もしその密約に、御一諾を給わるなれば、はや天下は掌のうちに図り得たようなもの。……いかなる条件のお報償に応じてもよいがとの、御意中なのでございました。