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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(七)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme

Aozora Bunko

「南無……。これで先の年、博多において、少弐、大友らのため騙かられて無念の死をとげたわが父寂阿殿の仇を取ッた」

これで仇をとった!

武敏が発した声のうちには生のままな人間が躍ッている。

時潮の人間は、大義名分だけでも去就していない。利害だけで向背するとも限ッていない。恩や恨みによってもままうごく。

乱雲の模様のように、地上の乱にうず巻く時の武族の離合集散ほど、はかり難いものはなかった。

しかしいま、菊池武敏の若い眸には、毛頭、そんな顧慮などない。太宰府をふみやぶり、少弐妙恵一族を屠り去って、

「あとはただ尊氏あるのみ。その尊氏とて、漂泊の一亡将だ、何する者ぞ」

の気概だった。

内山の――まだ余燼濛々たるあとに立って、

「勝鬨、勝鬨」

と、三たびの凱歌を全軍にあげさせ、その二万余騎にのぼる味方にほこり、もう明日の大捷をも、確信していた。

そして、思うには。

「朝敵第一の賊尊氏が九州へやって来たのは、招かずして、わが菊池家の門へ、幸運の鳥が来て啼いたようなものだ。――尊氏を討たば、その軍功は当然、宇内随一の勲功。――いやでもこの全九州は菊池家の下風に服せざるをえまい」