Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme
朝廷はゆるさず、六波羅はうごかず、ただ東の、敗報ばかりが、矢つぎ早であった。
するうちに、鎌倉の放抛、直義の敗走、つづいて大塔ノ宮がその幽所で何者かに殺されたなどの取沙汰も聞えて、都じゅうは容易ならぬ風騒の中におかれだした。
そうした八月一日。
朝廷は発表した。
鎌倉をのがれ出た成良親王をして“征夷大将軍トスル”という補任の令である。――これで尊氏もあきらめよう。そしてまた、尊氏の野望をも、これをもって塞ごうという窮余の封じ手だったのはいうまでもない。
「殿は」
高ノ師直はいま、どこからか、馬で六波羅へ飛んで帰って来たばかりである。
例の廂ノ間で、一ト汗拭いて、やがてのこと、薔薇園の書院のうちに、ぬかずいていた。
「いや、その儀は、いましがた、ほかの筋から耳に入っておるよ。かさねて、そちから聞くにもおよばん」
尊氏は言った。いつもの尊氏とかわりもない。
いささか拍子抜けのかたちである。師直は、また出る顔の汗を懐紙でそっと叩きながら、それとは離れて、とっさに言った。
「いよいよ、お腹の決めどきでございまするな。朝廷がわのご態度はさだまりまいたで」
「いまさら何を」