Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme
むかし、惟喬の皇子
山崎のみなせといふ所に
年ごと、桜の盛りには
おはしましける
とある、その平和ないい時代の桜も、今は藪だたみに見るかげもない老い木や朽ち木となっている。
ほどなく、正成の七百騎は、これへ近づいて来た。そして先駆の兵から、
「龍泉どのが、お迎えに見えておられます」
と、聞いた正成は、
「お、お」
と、正季へほほえみかけ、そこからは馬上の姿を並べて、もうついそこの、桜井ノ宿の夕煙を望みながら共に駒をうたせていた。
「正季。桜井へは、いつ着いたの」
「は。午やや過ぎに」
「では、だいぶ待ったな」
「いや兄上のお出で合せを待つ間にと、思いついて、大江の山に、時親先生をおたずねしておりました。ところが、はや、おいでではございません」
「お留守か」
「いえ、庵は住み捨てられ、どこへとも、お行方はわからぬそうで」
「ははは。火放け人が、火に追われて、逃げ端を失うているような。……そのような老師を、正季もまた、何でお訪ねして行ったのか」
「お会いいたせば、あの老師のこと。なんぞ良い兵法の理なり、または妙策でも、伺えようかとぞんじまして」
「そちもわしも、時親先生には、幼時から多くを学んだ。