Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme
この半夜
が当然、まわりの者に抱きとめられ、初めて、わあっんと、ほんとに声をあげた。狂気かと思われるような暴れ方でもだえ泣きに泣き狂った。
この半夜
義貞。ここへきての彼には、思いやられるものがある。まったく彼の昨今は精彩がない。
かつては、時の氏神のように、その英姿を、世上に仰がせたほどな彼が、こんにち、この敗退に次ぐ敗退は、どうしたことかと、疑われる。
とくに、こんどは、官軍六万をひきい、山陽山陰十六ヵ国からなにを徴用してもよい管領権までを賜わってきた左近衛中将義貞なのだ。それが都門を出た三月いらい――きょう五月二十四日――のこの日まで、ほとんどなんら義貞らしい片鱗もみせてはいない。
辱を知る
また、名を尊ぶ
なども人いちばい意識に濃い彼で、時流の武人どもからいわせれば、旧い武将型と笑うかもしれないほど名を重んじ、またつねに源家の嫡流たることを、ほこり高く持している義貞でもある。――それだけに、きのうきょうの、彼の焦躁には、人しれぬものがあったろう。
おもうに。――このところの彼を支配していたのは、彼の健康ではなかったか。すでに、都を立つまえから彼は持病の瘧をわずらっていた。