Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme
けれどあれは自領の一小局地の戦い」
「む」
「ここの大局では、戦場の規模、戦いのかけひき、雲泥のちがいです。すべて堂上方のみでなく、世上の武士も、ちと楠木の名を買いかぶッてはおる。どう見ても義助には、あの正成に、韓信、張良の智謀の片鱗もあろうとは思えません」
「しかし」
と、義貞は抑えた。自分の言いたい以上、弟が言ってしまったからである。
「意見として聞きおくぶんには聞くもよかろう。また、義貞の狭量よと、人にいわれるのもよろしくない。……とまれ正成と会うて後、明日の備えはきめる。そちは大事をとって、ひとまず陣地を和田の辺まで下げておけ。夜に入らば、なお打合せの使いを、交わすであろう」
「では、お待ちいたしまする」
いつか生田ノ森は、ひぐらしの音に暮れていた。浜といわず、山野といわず、いたる所の地を馳け鳴らしていた終日の駒音もやんで夕一瞬の静かな白い星があった。――その下をいま、正成の姿は、生田の一門から義貞のいる社家の方へ歩いていた。
義貞は、あぐらして、ゆったりと、上座にいた。
が、正成を見ると、
「お、河内どのか。陣中のことだ。へだてはよそう。ずっと、ずっと」