Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(七)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme

Aozora Bunko

「む?」

「貴公には分っておるだろ」

「何が」

「大殿の御本心だ。本心、このまま世捨て人となるおつもりだろうか」

「さあ、どうかな」

「幼少からのお傅役。その右馬どのなら」

「いや、ご舎弟(直義)さまでさえ分らぬ兄といっておられる。どうして拙者などにわかるものか。……だが、ああしていらっしゃる今日は今日だけの御本心だとはいえるだろう」

「では、あしたは」

「あしたのことは、おそらく御自身でも……。いやもっと遠い先は観ておられるに相違ないが」

「つかみどころのないことを」

「そう、つかみどころがない――それがあのお方そのものだな。まだ又太郎さまだった十代のお若い頃からだ。……しかしそれは、ぼんやりしているのとは違う。何か、人とは異なる時点と観点に立っておられるせいであろう。だから、人には矛盾とみえることも平気でなされる風もあるのだ。またそんな一面が年ごとおつよくなってきた風でもあるな」

「…………」

頼春は、目くばせした。寺の庫裡にもよく里の販ぎ女たちが物売りに廻って来る。いまもふと山着姿の小娘が、方丈の庭口をとりちがえて、戻って来たらしく、うろうろしていたが、ここの二人へ気づくと急に、