Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme
一切の権限はそちにゆだねる。政務軍事、おもなることはそちがやってくれと。しかるに」
「わるかった」と、尊氏は眼もとを和めた。自分をなだめているふうでもある。「いかんせん、かかることは、機密に運ばねば成り難い。事洩れては、全軍に不穏をよび、はては狂気の沙汰になる。収拾がつかぬ」
「これからでも、なりかねません。たとえ直義は、鉛を呑むおもいでこらえても、七万の将士、これが逆上して、どうすてばちの矛を逆しまにしないとはかぎらない」
「万一、これが洩れたのなら、よく諭すがいい、なだめておけ」
「あいにく、さような都合のよいことばを、直義、持ち合せておりません。弓矢の手前、いうべきことばなど、あるものですか」
「いや、まったくは降伏でない。誘降の上書を奉ったものにすぎぬ。それをしも、悪推量して、噪ぎ立てする者あらば、斬ってしまえ」
「では、屈辱的な和議でないと、固く仰せられますか」
「そも、たれがそちへこの秘事を囁いたの?」
「師泰ですが」
「物騒な男」
と、尊氏は、しいて苦笑してみせながら。
「感づいたものは、早や仕方もあるまい。が、諸将にまで、つたわっては、ゆゆしいめんどう。