Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme
――いまの窮状ではこれをただ一つの活路と見、これに応ずる以外に再起の道はないと、深く、しかも密かに、御決意の臍をきめていたものだった。
和睦の運びは、じつに、秘密裡であった。近側ですら、その日にいたるまでは知らなかったほどである。
なぜ。というに、武家の奏上では、戦況は概して悪くない。われにも損害は多いが、敵にも、より以上の打撃は与えている。兵糧の欠乏も同様で、敵もやっと掠奪で食いつないでいるのが実状だから、とうてい、この冬中は越せっこない――
こんなことのみ聞かされているのである。だから公卿のなかにも、なお必勝を信じている者が多かった。わけて坊門の清忠、洞院ノ実世などは、それのコチコチであった。――しかし後醍醐は、かならずしも、義貞の奏上だけにたよって御判断はくだしていない。さすが大局を観とおして、とうに、第二のだんどりを御心のうちにえがいていたのである。
その結果、
和議 了承
の御返事を、密々に、尊氏へおこたえになられたが、なお忠円僧正を介して、
還幸は十月九日
下山の龍駕には、尊氏方からお迎えの軍勢が途中まで出ていること。等々々の手筈まで、一切、諜し合せもつけておられたのだった。