Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(四) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.324 Zeichen · 458 Bildschirme
その丘の一つは、承久の後鳥羽法皇のおん亡骸そのものなのだ。皇孫の後醍醐にすれば、幕府を倒す、という願望は後鳥羽いらいの悲願ではあることだし、その後鳥羽は、事むなしく、十八年をこの島に閉じこめられ、いわば北条氏に殺されたのも同様だった。
「やわか、自分は」
後醍醐は、おくちを噛む。
ここでは必然に、後鳥羽の鬼魂ともいえる啾々の松かぜに明け暮れのお誓いを吹き研がれずにはいられなかった。
「一死か。一挙の成功か」
賭けは、すでに笠置蒙塵の日、踏みきッておられたもの。あのさいの大覚悟をおもえば、脱島の冒険とて、何でもない。
しかも、である。
機は熟したものとまずいえようか。島内にはだいぶ宮方の士も入り込んでいるようだし、海上には海賊岩松の船手が期して待つとある。陸には、鰐淵寺をはじめ、日ノ御碕の神職土屋一族、大社の国造孝時などの宮方。――また、はるかにはかの伯耆の大山が我をさしまねくかのごとき相だ。
「坐して死をまつよりは」
やがて。その日も暮れる。
「ここも、こよいかぎり……」
その宵、小宰相が、そっと帝の許へ忍んで来ていた。
兵の眼にかかっても、小宰相だけには咎めがない。