Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(四) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.324 Zeichen · 458 Bildschirme
「それっ、御旗を先に振れ。御旗につづいてすすめ」
すでに生きることは考えられなかった。火の玉となった一族は、辻堂方面の炎をくぐって、櫛田浜を突進し、そして探題邸の一門へせまった。
このときの九州探題は、さきにもいったが、北条修理亮英時といった。
英時は、この博多でもう在職十年からになる。
ゆらい九州は統治にむずかしい所とされていた。筑紫の強豪一藩一藩はどれ一つ生やさしい族党ではない。その筑紫で十年以上も探題をつとめあげてきた英時には、ただの官僚の才や腕だけでない人望と人柄の良さもあったのではあるまいか。
人柄といえば。――彼は、一時鎌倉の執権職にもついた赤橋守時の実弟なのだ。赤橋家のひとりなのである。
だから足利高氏へ嫁いだ、かの登子は、この英時の妹であり、高氏は義弟にあたる――。
ここで、思いあわされるのは、ずっと後年ではあるが、その足利尊氏が中央に失脚して、楠木正成や新田義貞にもやぶられ、長駆、九州へ逃げ落ちて行ったさい、たちまち鎮西の大勢力が、彼の麾下にあつまって来たことだ。それは、時運の潮もあろうし、尊氏の人物にもよったであろうが、おそらくはそれいぜんの、探題英時時代の人望やら多年にわたる下地が、たぶんに「――英時殿の義弟」