Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(四) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.324 Zeichen · 458 Bildschirme
たとえ親が討たれても振り向くな。子が仆れても、ふみこえろ。屍に屍を積んで、今夕までには、千早城を踏み潰すことだ」
いくさ奉行長崎や各軍の大将たちは、鎌倉表からの軍令奉書をまえにこう誓いあった。――またそのぐるりには、おもなる全軍の部将も立ちならび、主脳たちの作戦のしめしあわせに硬ばッた聞き耳をすましていた。
「わかったな」
「わかりました」
「部署につけ」
「おうっ」
それぞれの持ち場へ、各軍の大将、各隊の部将、木の葉のように駈けちらかった。
朝がたには、宇都宮公綱の先駆けを、なすがままさせておいて、それみたかと心で囃していた者どもなのだ。そのてまえもあり、大きくは鎌倉の急令、全軍の猛気は、きのうまでの比でなかった。
千早城の大手、千早谷をへだてて赤滝山がある。
そのあたりには、ここかしこ、丸太組みの塔が林立していた。なるべく敵のとりでに接し、またなるべく小高い岩頭などをえらんで組んであるので、矢を射こむには、至近距離をなしている。
まもなく虚空は矢さけびの道になった。
たちまち、敵の上から、小さい煙が、幾ヵ所となくたちのぼる。
一柱の煙をみるたび、谷が吠えるような喊声である。