Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(四)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(四) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.324 Zeichen · 458 Bildschirme

Aozora Bunko

「甚内さん、およびだよ」

と、告げていた。

やがて実直そうな半農半武士といえるような山着姿の老人が、段々畑のあぜをのぼって行く。そして山荘の内庭へ入り、そこで焚火しながら独り腰かけていたあるじを見て、

「隠者さま。御用で」

と、遠くにひざまずいた。

「お、甚内か。……ついでに彼方の縁にある古反古をみんなこれへ運んで来て、燃やしてくれんか」

「あれを」

「反古焚きだ。二十年の古巣、かなりあるな」

甚内は、あるじの命のまま、書斎のぬれ縁に出ていた反古の山を何度にも抱えて来ては、焚火の上に積みかさねた。中には古手紙やら絵図古書などの類もある。時親は惜しげもなく棒のさきで落葉の下に突ッつき交ぜた。

まっすぐに黄いろい煙が立ちのぼる。

……ほどなく、白い灰のチリが、雪のように二人の肩に降りてきて、地の物はしずかな焔になっていた。

「甚内、ここの山家暮らしも、長いことだったが、ちと身の都合で、わしは居所をかえねばならん。そこでここの飛び領は、地券と共に、おまえらに譲ってやる。おまえらは従来どおり山畑を耕して食ってゆくがいい」

「や。そしておあるじには、どちらへ?」

「都の身寄りへと思っているが、この戦乱だ、そこも身をおく場所でなかったら、洛外の寺へでもひとまず隠れる」