Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(四)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(四) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.324 Zeichen · 458 Bildschirme

Aozora Bunko

「…………」

「だから女とすれば、あれこれ悩むのもむりはない。そのうえ藤夜叉さん自身にも、何か、ふくざつな事情があって、去年一色村へ帰ってからも、日夜、そのことで苦しんでいるらしいんです。……ですから、ひたすら和子のお育ちのみを愉しみに、ご信心でもなされたがいいと、私の地蔵菩薩のお影像を手紙のうちに入れて上げようかと思っているの」

「地蔵尊のお絵をですか」

「ええ。……私たちが都へのぼる日、お餞別にと、鎌倉の姉ぎみ(高氏の母)が、ご自分で画いた千日供養の地蔵のお絵を下すったでしょ」

「それなら藤夜叉さんも持っていますよ。高氏さまからいただいたものだといって、地蔵菩薩のお守りを、いつも肌身に持っておいででした」

「では、あのひとにも、信仰はあるのかしら」

「いえ、お母あさんとは違います。地蔵菩薩のお守りも、藤夜叉さんのは、信仰で抱いているのではありません。男の愛のかたみとして、始終、涙に濡らしていらっしゃるのではございませんか」

彼女は覚一のませたことばに眼をあらためた。まアこの子は、と言いたげな眸であった。いつかしら二十歳をこえて、男臭くなっているわが子が草心尼にはふとおぞましく、うらがなしくも見えていた。