Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(四) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.324 Zeichen · 458 Bildschirme
勝栗やら、昆布やら、折敷にはめでたいものが盛ってあった。
彼女らは征途にのぼる武将の歓送には馴れきっている。
――それなのにと、彼女らはいう。そのわたしたちに黙って立つ法はない。そうはさせるもんですか。さあわたしたちの出陣祝いをおうけなさい。わたしたちの千人針を持たないで征ったひとは、みな千早とやら金剛山とやらで死んでおりますよ。――と。囀りぬく。
「ま、待ってくれい」
道誉は応酬に狼狽した。
「ま、待て。どうして知ったのだ、きさまらは」
「じゃの道はへびですもの」
「師直めに教えられたな」
「ご恩にかんじておりますわ。師直さまを」
「ふざけたやつだ」
「どちらがですえ、箒ノ頭さま。わたしたちが知らずにいたら、そのまま御出陣のおつもりだったんでしょ。まあ憎い」
道誉は閉口した。さすが兵に気がねもあるのである。女たちのさす杯を片ッ端からみな干して、さっそく錦の巾着を中の金ぐるみ祝儀として投げ与え、
「めでたく凱旋したらまた会おう。留守中あまり浮気するな」
と、戯れながらやっと振り切って女たちの中から立った。
すると師直が船の外で言った。
「白龍。なぜあちらの大勢にも餞別せんのだ。