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Japanische Klassiker mit Furigana

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ささめゆき

細雪

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 226.715 Zeichen · 431 Bildschirme

Aozora Bunko

と云って、十分ばかりたって上って来た橋寺は、折目の正しい紺の背広服に着換えていた。そして、此方の方が暖かですからと、往来に面した縁側の籐椅子の方へ客を請じた。貞之助は、手紙の返事を聞きに来たように取られたくないので、会ったら直ぐに辞去するつもりだったのであるが、硝子戸越しに射し込む日光を浴びながら、主人の例の人を外らさぬ応対の相手をしていると、つい立ちそびれて一時間ばかりしゃべり込んでしまった。尤も話は相変らず雑談ばかりで、先日は失礼な手紙を差上げましてと、貞之助がちょっと挨拶したのに対して、いえ、御丁寧な御書面を戴きまして有難うございますと、橋寺もさりげなく答えたきり、あとは取りとめのない世間話をしたに過ぎない。そのうちに貞之助はやっと気が付いて立ち上りかけたが、まあお待ち下さい、今日はこれから娘を連れて朝日会館へ映画を見に行きますので、御用がおありにならないならそこまで御一緒に参りましょう、と云われ、実はその娘を余所ながらでも見たいと思っていたところだったので、左様ですか、ではその辺まで、と、云わざるを得ないことになった。

もうその時分、街でタキシーを拾うのはむずかしくなって来ていたので、橋寺は電話で何処かのガレージからパッカードを呼んだ。