Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 226.715 Zeichen · 431 Bildschirme
どうせ夏の昼間の酒で、勧められてもそうは過せもしないのであるが、未亡人と雪子の膳の上には最初の一杯が冷え切ったまま置いてあり、幸子はさっき鯛の身と一緒にそれを飲み干して、杯を空にしているのに、常子は沢崎にばかり酌をして、女達にはしないでもよいものと極めているらしい。だが沢崎も、気がすすまないのか、遠慮しているのか、それともほんとうに嗜まないのか、三度に一度ぐらい受ける真似をするだけで、実際の量は二三杯しか過していない。そして、何卒お楽に、―――とたびたび云われながら、いえ、この方が勝手でございますとばかり、ズボンの膝をきちんと揃えて畏まっているのであった。
「あのう、阪神地方へも時々お越しになることがおありなのでございましょうか」
「はい、神戸へはあまり参りませんけれども、大阪へは、年に一二回程は、―――」
幸子はどうしても、この「千万長者」と云われる相手が雪子との見合いを応諾した動機について、心中の疑惑を払い切れないものがあって、今日は最初から、何かこの男に欠陥があるのではないかと云う眼で観察しつづけているのであったが、今迄話して見た様子では、そう取り立てて異常な点があるようにも思えなかった。