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Japanische Klassiker mit Furigana

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だっせんむすこ

脱線息子

佐々木 邦

Lesen Sie 脱線息子 (だっせんむすこ) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.293 Zeichen · 221 Bildschirme

Aozora Bunko

と声をかけた。お辞儀丈けは交換していたが、口を利くのはこれが皮切りだった。

「今黒鯛の大きいのを釣り落しました」

と相手が極く気軽に応じたので、新太郎君は岩へ上って行った。

「浮子はないんですか?」

「ハッハヽヽヽ、あなたは素人ですね?」

「えゝ」

「玄人は感で釣ります。目で釣りません」

と老人ナカ/\天狗だ。

「魚が食うと竿へ響くんでしょう?」

「竿から手、手から脳天へ響きます。ブル/\ッとね。何とも言えない好い心持です」

「それは僕も経験があります。心臓がドキッとするでしょう?」

「これは話せますな」

「矢っ張り浮子を使わないで、こんな大きな鯉を引っかけたことがあります」

と新太郎君は手を拡げて見せた。

「鯉はむずかしいですよ。何処ですか?」

「子供の時浅草の釣り堀でやったんです」

「ハッハヽヽヽ」

「ヘッヘヽヽヽ」

「浅草の釣り堀と太平洋を一緒にされちゃ溜まりませんな」

「太平洋では何が釣れますか?」

「こんな大きな黒鯛を二枚釣り落しました」

と老人も手真似で寸法を示した。釣り落したことばかり言っている。

「お邪魔じゃありませんか?」

「いや、結構です。あなたは東京だそうですな?」