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Japanische Klassiker mit Furigana

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だっせんむすこ

脱線息子

佐々木 邦

Lesen Sie 脱線息子 (だっせんむすこ) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.293 Zeichen · 221 Bildschirme

Aozora Bunko

と老人はもう名前を覚えてしまった。

「いや、大失策でした。ゴカイをつけっ放しにして置いたものですから」

と新太郎君は亭主に気の毒でならなかった。

「何あに、明日黒鯛が釣れる瑞祥ですよ」

「海じゃ駄目です」

「いや、あなたは確かに見込があります」

と老人はいつの間にか明日の約束を固めた。

次の日、玄人と素人はかなり遠方まで出掛けて、長い岩鼻の突っ先に陣取った。

「釣魚って奴は一寸詐偽に似ていますな」

と新太郎君は幾度も餌を取られてから感想を洩らした。

「何故ですか?」

「斯うやってゴカイを寄進についても中に鉤が仕込んであります。人間相手にこんなことをやったら直ぐに縛られましょう」

「しかし鉄砲よりは罪が軽いです。鉄砲は鳥獣が何も知らないでいるところを、ズドンと一発で引導を渡します。理窟も何もない。純然たる暴力です。ところが釣魚は先方の料簡で此方のものを食いに来て引っかゝるのですから、責任は五分々々です。それに釣り上げるまでには幾ら餌を取られるか知れません。鉄砲と違って資本がかゝっています。中には鉤があるのを承知で、餌丈け取りに来る横着な魚もいますよ。此方は万物の霊長ですもの。